西麻布Bullet’sの閉店と、私の想いと。

今から11年前の、2007年。
初代iPhoneが発売された頃。

西麻布の『Bullet’s』にはじめて訪れたのは、蓮沼執太さんなどが出演していた《CMFLG》という、delaさん主催のイヴェント。
六本木の喧騒から少し離れた地下室で、靴を脱いで、赤い絨毯やキングサイズのベッドの上で、座ったり転がったりしながら、音楽を聴いて、お酒を飲んで、友達とおしゃべりして。

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バーカウンターの中にいるのは、『Bullet’s』のオーナーのHarryさん。
美人で、ユニークで、優しくて、エキゾチックで、人を惹きつけるエネルギーに満ち溢れた、とても魅力的な人。
私は、もう、一瞬で、この場所が気に入ってしまった。



2008年、私が「DJ」と無縁だった頃。
その『Bullet’s』で音楽、お芝居、ヘアメイクブースなどを取り入れながら、自分が今まで体感したことのないイヴェントを主催して、いろいろチャレンジさせてもらった。

2010年、私が手探りで「DJ」をはじめた頃。
ソフィア・コッポラ」「バンドTシャツ」「宇多田ヒカル」「多幸感」「星座」など、コンセプチュアルなDJイベントを、思いつくままに開催させてもらった。(こう並べてみると、本当にとりとめないね。)
その中でも、ピコピコさんは、強烈過ぎる思い出のひとつ。
いわゆる私が用意したサプライズだったんだけど、自分自身も「ベッコスくん」の登場の瞬間まで、ずーっとドキドキしてた。

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同じ日に出演いただいた”大人”紙芝居師の飯田華子さんも、『Bullet’s』の持つ妖艶さを、独特な雰囲気で十二分に引き出していた。

2012年、私が「ハウスミュージック」に惹かれるようになった頃。
《100%silk》というL.Aのレーベルがきっかけで聴き始めたその音楽は、自分が聴いてきた楽曲や触れてきた視覚的感覚と地つづきなのに、今までとは明らかに違った新しい世界観があって、とにかく、好きで好きで仕方がなかった。こんなことってあるんだなぁって、自分でもびっくりしたくらい。
そんな中、《100%silk》からオーストラリアのミュージシャン・Roland Tingsが来日することが決まり、そのギグを『Bullet’s』で行った。
この日がまた、私にとって最高の夜だった。

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自分の好きなものだけに囲まれた「私だけの秘密の部屋」という感じがして、気持ちがものすごく高ぶっていたのを、今でも鮮明に覚えている。
あと、このイベントの前日、『eleven』で行われたDJ HARVEYと瀧見憲司さんの二人会が夢のような一夜だったこともあって、イベントの前半、ずっと二日酔いだったことも…。



たまに行く『Bullet’s』は、私にとって「非日常」そのものだった。
その「非日常」に、「日常」が混ざり合ったのは、同年、自分のイヴェント《Synthesmic》を、定期的に開催するようになってから。
シンセサイザー(Synthesizer)」と「宇宙(Cosmic)」をテーマにした《Synthesmic》は、その名前の通りで、それ以上でも、それ以下でもない。
ただ、そのコンセプトに沿って、できることは何でもしたかった。
無重力、とまではいかなくとも、なるべく抵抗力のない、フラットな状態でありたいと、常に思っていた。

シンプルに、このコンセプトに共感してくれた出演者のみなさんと、会場に足を運んでくれたみなさんとで作り上げたのはもちろんのこと、Feldermelder、Twigs & Yarnなど、海外アーティストの来日公演として開催することもあったし、「音楽」だけに絞るつもりもなかったので、「宇宙」に関わる本を読み放題にしてみたり、「宇宙マッサージ」のプリミ恥部さんに参加していただいたり、「宇宙カレー」にごはんをお願いしてみたり。
ダンサーのMELONちゃんには、「女性」としての宇宙を表現してもらって、すごくうっとりするものだったし、年4回の季節ごとの準レギュラーだった、ほそかわゆみちゃんが所属するアヴァンギャルド・テクノ・ポップ・バンド「動く指」は、毎回、摩訶不思議で、地に足つかないとことんキュートなライブだった。
オンライン上(Soundcloud)のメッセージで、カタコトな英語で頑張ってやりとりしてた、ブルックリンから来たDJが、日本語ペラペラの日本人だったり(asyl cahierとSlyAngleの悪戯…)、悪ふざけが過ぎたYoshinori Hayashiくんは、私の新品のレコード針でスクラッチしまくり、終了時間になってもなかなか終わらないし(個人的にはずっと聴いていたいんだけど!)、多忙を極める長州ちからくんは寸前でWブックギングが発覚したり。(それでも憎めない彼の存在は最強)

《Synthesmic》のことは、書き出したら本当にキリがないけど、一夜ごと、それぞれのドラマがあって、それらすべてが愛おしい。
3年間、全部で37回、毎月続けてこれたのは、関わってくれたみなさんのおかげ。
あらためて、感謝の気持ちでいっぱいです。どうもありがとう。



これらの自分主催のイヴェントと並行して、オーナーのHarryさんは、他のイヴェントへの出演のオファーもしてくれて、たくさんの出会いを提供してくれた。
しかも、お誘いをしてくれたイヴェントすべてが、私にとって本当に実りになるものばかりだった。
その中でも、忘れられないのが2011年2月に行われた「My Bloody Valentine Night」通称「マイブラナイト」。

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まだ「DJ Emerald」という名前もなく、ほぼ身内ノリのイヴェントでしかDJをしたことがなかった私に、「出てみない?」と声をかけてくれた。
緊張しながら当日を迎えて、知り合いもほとんどいない中で、自分が用意した音源を持ってDJブースに近づいていく。
私の前のDJは、くねくね体をうごかしながら、エフェクターを使いつつ、シューゲーザーの輪郭のない美しさを増幅させていって、とにかく最高にかっこよかった。
会場もすごい盛り上がっていて、「この後やりづらいなあ…」と思いつつ、準備をしていると「次の曲で渡すね」とそのDJから声がかかった。
そして、彼が最後にかけた曲が、Célineの『Un Rêve』。



私が今日、メインの曲としてかけようと思っていた曲だった。
急に頭が真っ白になってしまって、どうしようどうしようと慌てつつ、でも、私は「今日絶対この曲をかける」と心に決めていたので、ここぞ!というタイミングで、かけてみた。(4曲目くらいだったかな)
すると、「いいね〜」「何度聴いてもいいわ〜」とDJブース越しに、そのDJの彼も含め、何人かが声をかけてくれた。
その時、私の目に映った光景は、今でも昨日のことのように脳裏に焼き付いている。

私のプレイが終わった後、「DJよかったよ〜」と声をかけてくれたのは、さっきのDJ。
あなたのDJは素晴らしかったと伝えると、「ただの酔っ払いだけどね〜」と柔らかい口調で謙遜していた。かぶってしまった『Un Rêve』の話もしつつ、相変わらずくねくねしながら、また一緒にDJやりましょう、と言いながら、名前を交換。
彼の名は、hitch(ひっち)。
漫画の中から飛び出してきたような、すごく親しみのあるキャラクターの彼のおかげで、その後、すごいスピードでたくさんの人とのつながりができて、DJをする機会が増えていった。
そして、Harryさんからは、毎年バレンタイン近くになると、この「マイブラナイト」のDJオファーをいただけて、すごくうれしかった。
2013年の回は、My Bloody Valentineのドラマー、Colm O Ciosoig(コルム・オコーサク)が現れて、みんな驚いてたっけ。



私が出演するイヴェント以外のラインナップも含めて、Harryさんの、ひとつひとつのイヴェントに対しての情熱は、とにかく驚異的だなといつも感じていた。
聴いたことのない音、形容しがたい表現、他の場所では会えないような人、すべてが集まる空間が、いつもそこにあった。
2014年5月に行われた『Bullet’s』の15周年イヴェントでは、信じられないほど間近で、細野晴臣さんのライブも体感。

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まさに、「日常」と「非日常」のちょうど真ん中くらい。
左うでの夢…は、教授のアルバムだけど、細野さんがギターを弾きながら歌う姿は、本当、夢のような時間だった。



私は、小さい頃からずっと、「歌」と「メロディ」と「キー(調)」と「質感」を軸に、音楽を聴いてきたように思う。
「歌」には、「言葉(歌詞)」がある。
「メロディ」と「キー(調)」には、「記号」がある。(CとかFとか。♯とか♭とか。)
ただ、「質感」には、明確な区分はない。
その曖昧さが「自分だけのもの」であり、「好み」であり、「オリジナル」であり、「センス」なんだと思う。

2012年以降、「DJ」をやりはじめるようになってからは、自分の知らない世界が徐々に見えてくるようになった。
BPM」(テンポ)とか「ビットレート」(音質)が、数値として日常的に取り上げられていたり(今思えば、ピアノの楽譜の右上にあった「♩=120」がテンポ=BPMだったのか…)、自分が把握している「ジャンル」は、12色入りの色鉛筆のようなものだと知ったり。(「ロック」「パンク」「メタル」「クラシック」「ボサノヴァ」…)
一般的かどうかという視点で、認知度の差はあれど、数え切れないほどの「ジャンル」が存在していることが、とにかく、一番、衝撃的だった。

正直なところ、「ジャンルなんて」と思っていたこともあったし、自分だけの「質感」が「ジャンル」に取って代わられてしまうのではないか、という不安もあったけど、「ジャンル」を経由した後の音楽の聴こえ方は、明らかに、今までに体感したことのない感覚だった。
あまりいい表現ではないかもしれないけど、"心だけで聴かずに、頭も使って聴く"という感じ。
「メロディライン」や「コードの展開」ばかり聴いていた私は、「ベースライン」「リズム/ビート」の方にも、意識が向くようになった。
昔、自分が聴いていた曲をあらためて聴くと、「あれ、バランス悪くない?」とツッコミをいれたくなるようなものもあったりした。
一方で、全体の雰囲気として好きだった曲なんかは、粒度が前よりも細かく聴こえるようになったために、心と頭のバランスが上手にとれなくなることもあった。

「見える景色」は広く、深く、拡張していったことは間違いないのだけど、以前の「狭さ」「浅さ」も気に入っていた自分がいることに気がついてしまって、「ピュアだった頃には、もう戻れないんだ...」という悲しみが大きくなりすぎたこともあった。(なんて繊細な私なんでしょう)
あらためて、今思うと、このバランスがとれた「DJ」こそが、私の理想なんだと思う。



『Bullet’s』は、私にとって、あの頃のピュアな気持ちに戻れる場所。
そして、今の私が「見える景色」を自由に行き来しながら音楽を聴くことができるのは、『Bullet’s』があったから。
もし、『Bullet’s』がなかったら、「DJ Emerald」は存在しなかった。
「DJ Emerald」が存在しなかったら、今、私の周りにいる人たちには、出会えなかった。
それが「必然」だろうが「偶然」だろうが、正直なところ、どっちでもいい。
ただただ、今の自分を包み込む「すべて」が"存在しない状態"は、とてもじゃないけど考えられない。
本当に大切なものは、お金で買えたり、数字で見えたりするものじゃないな、とあらためて感じる。


そんな、私の生みの親のような『Bullet’s』が、2018年3月31日をもって閉店ということで、今までの「すべて」に、感謝の気持ちを込めて、3月29日の木曜日、『Bullet’s』で《Synthesmic》を開催します。



Sputniko!(スプツニ子)さんは、東京ではじめてライブをしたのが『Bullet’s』だったようで、彼女の想いのこもったポストをInstagram上でしていました。

www.instagram.com


"私の青春がなくなっちゃうみたい"な感覚は、私もまったく同じ。
そして、"私の大事な思い出はなくならない"のも、まったく、同じ。
彼女は、『Bullet’s』の本当の最終日、3月31日(土)のラストパーティ《BULLET’S FINAL __ DAY❷》に出演する。
他にも、宇川直宏さん、小林径さん、HiBiKi MaMeShiBaさんなど、豪華かつ『Bullet's』にゆかりのある出演者ばかりで楽しみ。



当日は、「歌」も「メロディ」も「キー(調)」も「質感」も「BPM」も「ビットレート」も「ジャンル」も、すべて取っ払って、たったひとつの「想い」だけで、DJをしたいと思います。
最後の『Bullet’s』、最後の《Synthesmic》で、お逢いできたらうれしいです。


▼Infomation
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"Synthesmic #38"

2018/3/29(木)
at Bullet’s [西麻布]
OPEN/START 19:00-
Entrance: 1500yen
宇宙の本読み放題 / All you can read cosmic books

-LIVE-
ELLEH

-DJ-
pAradice [LIFE FORCE]
Kotsu [CYK]
Wataru Sakuraba
DJ Emerald

-紙芝居-
matocotoshuco


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Synthesizer × Cosmic = Synthesmic

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Synthesmic :::
http://synthesmic.tumblr.com/

Photo Archive :::
http://synthesmic-photoz.tumblr.com/
https://www.instagram.com/explore/tags/synthesmic/

Bullet’s :::
http://bul-lets.com/

 

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秩序ある混沌 [chaotic order] の中で

秩序ある混沌 [chaotic order] の中で、今夜も、心を揺らします。
アンビエンス、サイケデリア、白昼夢。
私は、深夜の1時40分から。
フォース・アクセルならぬ、最大4曲同時再生を狙います。

踊る/踊らない、の争点に違和感はあるけど、世界中が注目した、氷の上でのパフォーマンスに感動するのと同じように、人は、いつの時代も、「感じること」を避けては通れない。
なぜなら、「感じること」が、生きることだから。

“誰か”が作ったものに囲まれている現代だからこそ、
内包されているものと向き合い続けることを忘れないように。
それを問われているのが、2000年代以降なんだろうなと、思う今日この頃。

心の奥の、ものすごく奥の方で、感じることができる空間へ。
今夜、神宮前の《Bar bonobo》でお待ちしております。

*ちなみに「秩序ある混沌」は、ノーベル物理学賞江崎玲於奈さんの言葉です。



▼Infomation
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L.F.

2018/2/17 sat at bar bonobo[原宿/神宮前]
START: 22:00
CHARGE: 1,500yen(with 1drink)

-MAIN FLOOR DJ-
Kaoru Inoue (SEEDS AND GROUND)
Sisi (Rainbow Disco Club / Timothy Really / mule musiq)
ichiya (DecaDance)
Wataru Sakuraba
haraguchic (FreedomSunset)

-2ND FLOOR DJ-
maa (Hamon Radio)
DJ Emerald
Tatsuya Ouchi (Friday Lounge)
OKAYAMA (oshiga club)
Shun Horiki

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「3番目の金曜日」に、会いましょう。|《Friday Lounge -The third Monday of the month-》at Café Apres-midi

今年も、個人的な「目標」がいくつかある。

「目標」なんていうとなんだか大袈裟で、「毎日」だったり、「毎月」だったり、「この1年で」っていうのもあれば、「そのうち」とか「いつかは」みたいなものもある。
期限をちゃんと設けてないものもあるから、去年から持ち越してるものも、まあまあある。
そんなの目標とは言わない!と思う人もいるかもしれないけど、それ以外にピンとくる言葉が見当たらない。
なんだろうなぁ、「メモ」よりは少し大切で、「夢」よりは少し現実的。そんな感じ。

そんな、今年の目標のうちの、ひとつ。
目標、というよりは、決めたこと。
それは、今年の「3番目の金曜日」の《Friday Lounge》のプロデュース。

《Friday Lounge》は、渋谷にある「カフェ・アプレミディ」で、毎週金曜日に週替わりでレギュラーDJが毎回ゲストを呼んで、良質な音楽を届ける「空間」。
イベント、とか、パーティ、という言葉は、あまり似合わない。
「Lounge=ラウンジ」は、「休憩室」「社交室」という意味を持つけど、それとも違う。
シャープな部分はありつつも、もっとこう、柔らかくて、あたたかい「空間」。
だいたい「○○室」という言葉自体が、堅苦しいよね。

もともと「3番目の金曜日」の《Friday Lounge》は、International Gallery BEAMSのmaaくんが担当していて、今年はそこに、私とWataru Sakurabaくんが参加する形に。
太陽の光が水面で揺らめきながら反射しているように、すべてのことを、あらゆる方向へ、拡張できたらいいな。

2月の「3番目の金曜日」は、16日。
今回お招きしたゲストは、このおふたり。

まず、世界中から人が集まる日本の野外/オープンエアーパーティ『rural』の主催であり、昨年は日本だけでなく、ロサンゼルスのNTS Radioや、フランスのRinse FMにも出演した、Naoちゃん。
この「3番目の金曜日」のお話をいただいたときに、一番最初に思い浮かんだのが、彼女だった。
テクノや硬めの音のイメージが強い彼女が、どのようなプレイをするのかがとても興味深い。

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そして、先日の代官山UNIT/SALOONの「FRUE -Deep into “New” South America-」も大好評だった『SUBMARINE RECORDS』主催のNOGAWAくん。
深海で行なわれているダンスパーティのような”抜け感”のあるパーティメイクは、その手段も、センスも、もちろん音も、すべて抜かりない。
気がついたら「あれ?ここ、どこだっけ?」という具合に、まわりの景色が変わってる感じ。
まるで、眠りに落ちるみたいに、あたたかく、心地よく、人魚たちが舞う海の底へ連れて行ってくれる。

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今年の「3番目の金曜日」は、ちょっと特別に。
まずは、2月16日にお会いいたしましょう。
心より、お待ちしております。(;



▼Infomation
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Friday Lounge

2018/2/16 fri at Café Apres-midi >>> map
OPEN / START 20:30
CHARGE: FREE

Guest DJ:
Nao [rural/LIVING ROOM]
NOGAWA [SUBMARINE]

DJ:
maa [Hamon Radio]
DJ Emerald
Toru Hashimoto [SUBURBIA]

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この日は、「クラブ」「ダンスフロア」といった場所とは異なる空間でのアプローチが楽しみなおふたり、Nao [rural/LIVING ROOM]と、NOGAWA [SUBMARINE]を迎えて。
歴史を感じさせる上質で味わい深い音楽から、地下(=アンダーグラウンド)の中だけで広がりを見せる「特異点」とも言える音楽まで。
第3金曜日の夜の海へ、どうぞ気の向くままに泳ぎにいらしてください。

《Friday Lounge -The third Monday of the month-》
2018年の毎月第3金曜日は、渋谷と原宿のちょうどあいだに位置するビルの5階「Café Apres-midi」にて、maa、Wataru Sakuraba、DJ Emeraldの3人のDJによる「Friday Lounge」を開催しております。

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東京都庭園美術館『装飾は流転する』

白金台にある「東京都庭園美術館」へ。
いわゆる「美術館」とは少し趣の違う朝香宮夫妻(皇族の一家)の邸宅だったこの建物は、それ自体がすでに、ひとつの美術品のよう。
こだわり抜かれた美意識が、細部の細部まで散りばめられていて、毎回行くたびにうっとりして、何度も何度もため息をついてしまう。(はぁ・・・!)

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今回は「装飾」を軸にして、多種多様なアーティストが集合する「装飾は流転する」という展示。
こういったコンセプトをメインにおいた展示は、出会わないものたちが出会う「偶然性」が、作品と作品のあいだの空気を埋めて尽くしていて、心がどうしようもなくワクワクする。

行き過ぎた「装飾」から、目を凝らさないと気がつかない「装飾」、
再編集/サンプリングされた「装飾」、日常の延長線上にある「装飾」まで。
どの作品も共通しているのは、触りたくなる「質感」と、覗き込みたくなる「繊細さ」。

 

その中でも印象的だったのは、コア・ポア(Kour Pour)というアーティスト。

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絨毯の修復職人だったイラン系イギリス人の父親からインスピレーションを受け、ペルシャ絨毯の柄をベースに、独自の感性をキャンバスに重ね合わせていくそのスタイルは、唯一無二。
絨毯の歪みまで再現していて、遠目に見るとそれが絵だとは分からなかった。
近づいていってよーく見ると、愛嬌のある絵のタッチと色合いがとても印象的で、思わず頬が緩んでしまうものも。
ヒップホップとの出会いがひとつのターニングポイントだと分かる、彼のドキュメンタリー映像もとても興味深かった。
それぞれの作品が、一曲ずつ楽曲になったらどんな風になるんだろうなぁ。(妄想)

 

コア・ポアの作品は、そのほとんどが「新館」の方に展示されていたのだけれど、シックな庭園美術館の本館には、それぞれの質感が美しく混ざり合う、ヴィム・デルヴォワ、ニンケ・コスター、髙田安規子・政子などの作品。
そして、それらに相反するかのように、山縣良和の作品が違和感を醸し出して、それぞれの魅力を引き出す。

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ヴィム・デルヴォワ

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ニンケ・コスター

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髙田安規子・政子

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山縣良和

 

彼らの試みを見る時、
私たちは装飾という行為が、
生々しい現実を複雑なまま認識するために必要な切り札だということに気がつくのです。
––––––––––––– 東京都庭園美術館 オフィシャルサイトより


この「生々しい現実を複雑なまま認識する」感覚は、この展示に訪れる数日前に観た映画「ブレードランナー 2049」で、強烈に感じたところだった。
また、この情報過多な現代に対して・・・"対して"じゃないな、現代"の中で"、日々抱いている感覚でもあった。
庭園美術館を出た瞬間、私の中で、それらの「混沌」「混乱」の歯車が、ゆっくりと回り出した。

「いびつにしたい」とも思うし、
「きれいに納めたい」とも思う。
それが、人間の本能なんだろうな、と思う。 

 

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「本館」と「新館」をつなぐ通路からの景色。
澄んだ空気の中で、月が美しく浮かぶ夜。
明けて次の日、東京では4年ぶりの大雪。

 

 

2014年から2016年に制作された、スコットランドのHugh Smallによるピアノ・ソロ曲集『Piano Music』は、深深とした空気にぴったりの作品。


HUGH SMALL - Mission Statement

彼は、女性シンガーのAnna Howsonとニュー・ウェイブ色の強いデュオ「Vazz」としても活動をしており、最近、ベルギーのレーベル《STROOM 〰》から『Submerged Vessels And Other Stories』をリリースしており、そのボーナスCD付属として、この『Piano Music』がついてくる。
本編の『Submerged Vessels And Other Stories』は、バンドサウンドの楽曲と、ピアノソロの楽曲が入り混じった構成になっている。
この、「ん?」とちょっと振り返りたくなる存在が、たまらなく好き。


VAZZ - Mezquita


VAZZ - Pearls Dub

 

「フエルサブルータ/FUERZA BRUTA WA!」のラウンジDJナイトを終えて

先日の「フエルサブルータ」、大盛り上がりでした。
体験型のショー、と一言だけでは言いあらわせない内容で、想像を超えるアクション(動き)が途切れなく続く70分間は、重力や浮力を最大限に生かしつつ、演者とお客さんの線引きを、そして、舞台と観客エリアの線引きを取っ払う圧倒的なパフォーマンスの連続でした。

私は準備もあったので全部は見られなかったけど、公演後、扉から出てきたお客さんたちの楽しそうな表情が忘れられない。

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本公演後のDJ NIGHTも、興奮が残る雰囲気の中、賑やかで楽しい空間でした。
今回の「フエルサブルータ」は「和」がテーマだったので、DJの選曲も、全曲ではないですが、日本人の楽曲や、和を連想させるような楽器の鳴りがあるものを少し取り入れました。
あと、これは余談ですが、洋服に羽織を合わせました。
和服はもう持っていないんですが、昔、鎌倉で買ったこの羽織だけはずっと手放すことができないまま。
不思議なことに、数年に1回、こうやって着る機会が訪れることもあって。
次着るのは、いつになるかなぁ。

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 photo by waddy

「フエルサブルータ」で、究極の非日常体験を。

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「フエルサブルータ」って?

2005年に地球の裏側、アルゼンチンで生まれたカンパニー。 明言する言葉はないけれど、しいて言うならば「獣の力」「生の力」。 ニューヨークのオフ・ブロードウェイでも大好評を博し、2014年に来日した際には2ヶ月で役6万人を動員した、新進気鋭のパフォーマンス集団、フエルサブルータ。 おびただしい紙吹雪の中、人が走り、空を飛び逆さまになったかと思えば、空からプールが降ってきて、観客はそれを触ることができる。全方位が舞台のエキサイティングなショウ。

http://t.pia.jp/feature/event/fbw/ より引用


現在、毎週金曜日限定で、本公演後に「ラウンジDJナイト」が行われており、
1月12日(金)は、私がDJを担当することになりました。
場所は、品川プリンス・ステラボール
究極の非日常体験と、その余韻を美味しいお酒と音楽とともに。
詳細は公式サイトからどうぞ。

fbw.jp

 

DJ Emerald - dublab.jp Radio Collective #153 / 全曲解説

先月の《dublab.jp Radio Collective》のDJmixのアーカイブSoundcloudにアップしました。
※当日の詳細はこちら(事前の記事)と、こちら(終了後の記事)から。

 
そして今回、初の試みとして、使用したすべての楽曲の解説をしてみました。 
結構ラフに書いている&かなり長いので、お気持ちとお時間が許す限りでどうぞ。

#2018.1.21追記
本家のdublubにもアーカイブがアップされました。こちらからどうぞ。


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Doppelate / Exception《Share XL》

ロンドンのアーティストDoppelateによる、美しいメロディが散りばめられたアルバムのオープニングを飾るトラック。
全5曲中2曲は、11分を越える楽曲で、申し分なくメランコリックな宇宙空間へ陶酔することができ、特にラストの楽曲は、元EmeraldsのSteve Hauschildtの作品を思い出させます。(この曲は5分31秒。個人的には倍くらいあってもいいと思う…)
Doppelateはハウスのトラックもリリースしているみたいだけど、断然こちらの方がタイプ。
リリース元であるベルリンのレーベル《Share XL》は、私がかつてから好きな《100% Silk》《Church》などから楽曲を発表しているJames Boothがオーナー。

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Iguana Moonlight / III《Not Not Fun Records》
いち早くSapphire Slowsの才能を見出したレーベル《Not Not Fun Records》より、ロシアはモスクワのアーティストIlya RyazantcevことIguana Moonlightの、神秘的なニューエイジアンビエント作品。
シンセサイザーと混ざり合う、鳥の声や波の音が、まだ見ぬ"あちら側"の世界へ誘ってくれる。
カセットテープはすでに販売終了。
私はデータで買ったけど、妖しげな紫色のジャケットも好き。

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Alice Coltrane / Er Ra《Avatar Book Institute》
説明不要のアメリカのジャズ・ミュージシャンであり、ジョン・コルトレーンの妻である、アリス・コルトレーンの1987年の作品『Divine Songs』の3曲目。
彼女によって爪弾かれる珠玉のハープ音の粒たちによって、まるで天国へ導かれているかのような気分に。
そして、彼女自身の歌声(昔のエジプト語の方言らしい)を聴いて、どういう意味なんだろう…と、考えてること自体が野暮だな、と思えるくらい、今まで感じたことのない別世界が広がっていく。
偶然にも、今年は彼女の没後10年目で、この楽曲が含まれたコンピレーションがリリースされている。
ただ、これらの作品は、彼女のスピリチュアル・コミュニティ内にのみに発表していた音源、ということで、少し複雑な気分でもあるのが正直なところ。むずかしいね。

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Visible Cloaks / Bloodstream《Rvng Intl.》
先日の来日公演も大好評だった、’テン年代’のアンビエント・ミュージックの代表格とも言える、Spencer DoranとRyan Carlileによるポートランドの2人組のVisible Cloaks。
自分がDJをはじめて間もなく知ったブルックリンのレーベル《Rvng Intl.》は、いまだにずっと好き。
Daniel Lopatinが手がけるFord & LopatinやOneohtrix Point Neverに出会った時の衝撃、再び、と言った感じもあり。

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Phil Struck / Rosegate《Quiet Time Tapes》
何をやってもはずさない、センス抜群のHuerco S.が始動した注目のカセット・レーベル《Quiet Time Tapes》より、ドイツのハンブルクの音楽家Phil Struckによる実験的な作品。
カセットについている12ページのブックレットは、デザイナー/フォトグラファーとしても活躍する彼自身によるもの。
どの楽曲もちょうどいい具合に輪郭が歪みつつ、しっかりと奥行きがあるので、あらゆるタイプの音とmixしがいがありそうで楽しみ。
来年以降も、とても重宝しそうな作品集。

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D.K. / Bricks In White《Melody As Truth》
2017年、私が最も聴いた音楽は、ロンドンの音楽家Jonny Nashの楽曲やDJmixであることは間違いない。
そして、彼が主催するレーベル《Melody As Truth》からリリースされた楽曲も、それらと同じくらい聴いたと思う。
・・・と言っても、リリースのペースはわりと緩やかで、年に数枚ほどで、しかも、リリースしている楽曲は彼自身の作品か、相方の(ような存在の)Suzanne Kraftの作品のみだった。
その中で、二人の存在にまったく引けを取らないのが、パリを拠点に活動するプロデューサーDang Khoa ChauことD.K.。
また、45 ACPという別名義では、全く異なる質感の楽曲を、ロウハウスのレーベル《L.I.E.S.》からリリースしている。
2年前、私はそのことを知らずに、45 ACP名義のEPを買っていた。巡り合わせってすごいね。

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Árbol / Moon Shadowed《Lejos Discos》
今回のdublab.jpのゲストであるPedroがバルセロナ出身ということで、同じくスペインの音楽家であるÁrbolの楽曲を。
ÁrbolことMiguel Marinとは10年くらい前に知り合って、彼のアルバムにヴォーカルとして参加させてもらったり、ライブツアーでスペイン各地を一緒に回ったりした。(2007年〜2009年の間)
南スペインのセビリア出身で、お母さんがフラメンコダンサーだったという彼は、いつも明るく楽しげで、本当にまさに絵に描いたようなスペイン人という感じ。
その一方で、細野晴臣さんやススム・ヨコタさんの楽曲、村上春樹さんや三島由紀夫さんの小説が好きな一面もあって、見かけによらず(いい意味で)繊細さも持ち合わせていて、それがまた興味深い。
そういえば、ツアー前の練習やライブ当日のリハーサルの時だけは、人が変わったように毎回すごくシビアだったなぁ。
2010年以降は、映画のサウンドトラックや、コンテンポラリーダンスへの音楽提供など、さらに幅広い分野で活躍中。
また、バルセロナ、行きたいな。

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Hieroglyphic Being, Sarathy Korwar & Shabaka Hutchings / Ashrams《Technicolour》
シカゴのHieroglyphic Being(ハイエログリフィック・ビーイング)と、UKジャズ新世代ドラマーSarathy Korwar(サラシー・コルワル)、ロンドンのテナー・サックス奏者Shabaka Hutchings(シャバカ・ハッチングス)の3名によるプロジェクトの作品。(みんな名前がむずかしい…)
即興ライブセッション音源を切り出してつくられたこの楽曲は、非常に艶やかであるのにも関わらず、その対極にあるザラつきも共存している、Hieroglyphic Beingの前々作『The Disco's Of Imhotep』に引き続き、彼らしい挑戦的な姿勢がしっかり伝わってくる。
今回のようなラジオ放送や、ラウンジミュージックという位置付けではないと思うんだけど、これだけはどうしてもプレイしたかったので、思い切って。
《Technicolour》は言わずもがな《Ninja Tune》傘下のロンドンのレーベル。THE 安定。
ちなみに、元のセッションはこちらで聴くことができ、こういったアプローチもかっこいいなって思う。

www.mixcloud.com


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Ambien Baby / AB2《Normals Welcome Records》
カナダはヴァンクーヴァーのアーティスト、D. TiffanyとDan Rinconのユニット。
こういった内向きかつ柔らかめの、ローファイなミドルハウス(勝手に命名)は、延々聴いていられる私なのです。
ピリッとアシッド要素も入ってるのも、ニクい。
コンピレーションEPで、この楽曲以外にはまだリリースはなし。今後が楽しみ。
D. Tiffany名義では、2014年に、同じくヴァンクーヴァーのレーベル《1080p》からもリリースしている。

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Cloudface / Coffee《Black Opal》
今回のMixの折り返し地点。
こちらもカナダのヴァンクーヴァーアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックを牽引する《Mood Hut》からもリリースしている、機材マニアで有名なCloudfaceことDavid Reynoldsのドリーミーなダウンテンポ・ダンストラック。
3年前にリリースされたLP『Untitled』のオープニングより。
同LPのラストを飾る『U & Me』もお気に入りで、後者は夏に録音した自分のDJMixにもIN。
PVもいい塩梅に輪郭があって、よい。


Cloudface - Coffee

《Black Opal》は、イギリスのカセットテープを中心にしたレーベル《Opal Tapes》傘下のヴァイナルオンリーレーベル。本作は、レーベル2作目。

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Tolouse Low Trax / Vai Vai《Karaoke Kalk
1994年に結成されたドイツのエレクトロ・ポップ・アヴァンギャルドクラウト・ロック・バンドの(長い!)KREIDLERのオリジナル・メンバーであるDetlef Weinrichによるソロ・プロジェクト、Tolouse Low Trax。
“ミニマル”という軸で音楽を聴くことはなかなかないけど、こういうサウンドは嫌いじゃない。
あまり情報が出回ってない中、2016年の秋冬シーズンのPaul Smith/ポール・スミスのウィメンズコレクションのショーミュージックとして使われてたことは、確認ができた。

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Blue Heron / Paul's Blues (ft. Coyote)《Mood Hut》
前出の《Mood Hut》より、ダウンテンポトラックを中心にしたコンピレーションから、お気に入りの1曲。
全体に散りばめられているのは、『Paul's Blues』の名の通り、ジャズフルート奏者であるPaul Hornが Joni Mitchellと一緒にあの名曲『Blue』を演奏しているこちらと思われます。


PAUL HORN (featuring JONI MITCHELL) blue

それにしても、《Mood Hut》はどれも名曲ばかりで、本当にすごい。


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Odd Nosdam / Profane Bong Sue《Leaving Records》
私はDJをはじめてから、DJの知り合いがたくさん増えた。
その中で、聞く回数が過去最多であろうセリフ、それは「実は、元々ヒップホップ聴いてたんだよね...」である。
「え!あなたが?!」というような人に限って、こっそり、そう教えてくれる。
“俺は東京生まれHIPHOP育ち、悪そうな奴は大体友達”という歌詞で有名なヒップホップのイメージが、ここ数年でほぼなくなったと言ってもよい。
私は、ヒップホップを聴いてきていないけど、唯一、ロサンゼルスのインディーズ・ヒップホップのレーベル《Anticon》に所属していた、Why?とDoseone、そして、このOdd Nosdamだけはほんのり聴いてたので、多少なりとも愛着がある。
いわゆるヒップホップの定番、ではないけど、ヒップホップの"あり方"みたいなものは、当時、感じてたと思う。
今回の楽曲が収録された、昨年発売されたアルバム『Sisters』は、いい意味で、あの頃の匂いを現代に連れてきてくれている。マスタリングは、Matthew David。

 
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Tlim Shug / Memoir For Your Dream《Echovolt Records》
LegoweltやSimoncinoなどのリリースもしている、ギリシャアテネのレーベル《Echovolt Records》のコンピレーション。
今回のTlim Shugの楽曲以外は、ローファイハウスが中心で《100%Silk》の雰囲気が強く、それはそれで◎。
Soundcloudにアップされている彼自身の楽曲はどれもセンス抜群。
ちょいちょい笑わせようとしてくるようなユーモアがあるのも最高。 (ってそんなつもりじゃなかったらごめんなさい)


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EmE / Canopy《Circuitree Records》
この音源に関しては、とにかく、情報がない。
レーベルのサイトはドメインの有効期限が切れてるし、SNSまわりも2015年を最後にストップ。
かろうじて、マイアミのレーベルだということはわかる程度。
私もどうやってこの音源にたどり着いたのか、忘れてしまった。
たまに、こういう謎の存在や出会いがあるのもDJの醍醐味だったり。

 
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坂本龍一[Ryuichi Sakamoto] / 美貌の青空[Bibo no Aozora]《Güt / For Life Records》
度々、現場でもかける教授の楽曲。
中でもこの『美貌の青空』は、メロディとコード展開が非常に美しく、時代を超えた名曲のひとつだと思います。(あと『Ballet Mécanique』も!)
この楽曲が素晴らしいのは、その”美しさ”だけでなく、その向こう側にある、手の届かないもどかしさや、目に見えている事象の危うさ、知らない間に押し殺してしまっているかもしれない気持ち、みたいなものが、全部同じ瞬間瞬間で混ざり合っているから。
「音楽」というツールを使って、時にキャッチーに、時にヘヴィーに、私たちに感じる/考える時間を与えてくれる教授。そして、細野さんと幸宏さんも同じく。
あらためて言うまでもないけど、YMOの3人は、永遠にリスペクト、です。


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Shigeto / Huron River Drive (Evenings Remix) 《Ghostly International》
最後の方は柔らかい雰囲気にしたかったので、久しぶりに、Shigetoさんの楽曲をチョイス。
フェミニンな雰囲気たっぷりのエレクトロニカ・サウンドの中に、しっかりとした太いボトムが鳴り響く。
そのバランスがとても心地よく、かつ、展開がすごくロマンチックで、聴くたびに、毎回からだがとろけそうになる。
おばけのアイコンで有名なレーベル《Ghostly International》は、Gold Panda、School Of Seven Bells、Com Truiseなど、私がDJをはじめた2010年頃によく聴いていた。
特に、Gold Pandaのアルバム『Lucky Shiner』は、繰り返し聴きまくっていて、やっぱりからだがとろけそうになっていた。


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D.K. / Evening Shadows《Antinote》
先にも出てきたD.K.のセカンドアルバム『Island of Dreams』より、あたたかみのあるトロピカルサウンドが特徴的なトラック。
フランスのレーベル《Antinote》からは、同じくパリ在住のDomenique Dumont(こちらもトロピカルかつキュートなローファイダンスミュージック)や、岡山在住のInoue Shirabe(現在の名義はSHIZKA)など、素晴らしいアーティストの作品がリリースされている。
去年パリに行った時、いろいろタイミングが重なって、レーベルオーナーのZaltanに少しだけ会う機会があったのだけど、自由で、気さくで、すごく楽しい人だった。
5年目を迎えた《Antinote》、これからも楽しみ。

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Mixcloudでも聴くことができます。

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